クロネコの塵壺

自分の頭で考えて生きていこう

小山進著『丁寧を武器にする』を読んだ感想

突然ですが、仮にみなさんが全国区の知名度を誇るパティシエだったとして、雇われの身から独立して自分の店を持つ場合、どのような地域を選ぶでしょうか?

そして、独立して1店舗目がある程度成功した場合、次に考えることは何でしょうか?

合理的な考え方をする人は、一つ目の質問に対して人口の多い都市部と答え、二つ目の質問には多店舗展開と答えると思います。

これらの常識的な答えとは真逆のことをやった人が小山進氏です。現在も経営者兼パティシエとしてお店をやっていて、かなり成功している部類に入ると思います。少し前から気になっていた人です。

その方が書いた本を読んだので、少し思うところを書きたいと思います。

小山進氏については、テレビ東京カンブリア宮殿」やTBS「情熱大陸」に出演したことがあるのでご存知の方も多いと思います。

が、念のため経歴を紹介しておきます。

 

調理師専門学校卒業後、1983年にスイス菓子ハイジに入社。本店シェフパティシエ、商品開発部長を歴任。

TVチャンピオン他、多数の菓子コンクールで優勝し、2003年より兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」を開店。看板商品の小山ロールは一日1600本を売り上げ、ロールケーキブームの火付け役となる。

2011年から2017年までフランス・パリで開催されるチョコレートの祭典「SALON DU CHOCOLAT PARIS」に出展し、「C.C.C.」(Club des Croqueurs de Chocolat)の コンクールで7年連続となる最高位の「ゴールドタブレット」を獲得。

 

さて、肝心の本の内容ですが、本書はビジネス書のカテゴリに分類されます。会社員時代から独立するまで、そして独立してからの仕事に対する想いや取り組み方について書かれています。

小山進氏は、経営者としての側面とパティシエとしての側面を持っています。なので、経営者として大切にしていることに加えて、パティシエ、つまり一人のクリエイターとして大切にしていることの両方が書かれています。

前者について言えば、例えば独自の人材育成論、ブランディングマーケティング論、リーダーシップ論、商品開発論等を書いている部分があります。後者については、例えば、そのお菓子を通して何を表現したいのかを考え抜いてから試作を行う(試作するよりも企画イメージをとことん考える)、アイデアは路地裏遊びなどの少年時代の楽しい思い出から得るなど、自分なりのやり方に触れています。

2つの役割・立場から書かれているので、少し読みにくい部分もありますが、それでも参考になる部分は多かったです。

特に経営的な観点では、全国の有名百貨店から出店要請があるにもかかわらず、支店を作らず、本店での店頭販売のみにこだわる所です。

上記の理由は、百貨店に出店する場合、店の演出や商品プランに関して百貨店側の指示に従う必要があり、自由に運営できないからです。

 

全国に支店を出すより、自分の目の届く範囲でお店をより深く掘り下げて内容を充実させていくほうが、僕らしい。

 

小山進著『丁寧を武器にする』 p.141 

 

この考え方は、結果的に成功しているように思います。もちろん、一部の商品はオンラインショップで販売しています。しかし、兵庫県三田市の「パティシエ エス コヤマ」でしか買えない商品もあるので、それが商品の希少性やブランド価値を高めていると思います。