クロネコの塵壺

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「二刀流」や「縁」って英語で何て言うの?(後編)

Angel Stadium

前編では「二刀流」について調べました。

辞書、新聞、Google翻訳の3つを利用して、「二刀流」の適切な英訳を探求しました。

後編では「縁」について書きます。

辞書で調べる

大谷翔平選手がアナハイム・エンジェルスを選択した理由を以下のように語っていました。

「縁みたいなものを感じた。」

「縁」とは何か。

えん [1] 【縁】えん [1] 【縁】   

①人と人を結ぶ,人力を超えた不思議な力。巡り合わせ。 「こうなったのも何かの-」 「ご-があったら,また会いましょう」

 

②親子・夫婦・親戚などの間柄。 「親子の-」

 

③知り合いの間柄。交わり。縁故。 「友達の-を切る」 「 -を頼って上京する」

 

④関係。つながり。 「学問には-がない」 「日本と-の深い国」

 

⑤関係のできるきっかけ。 「これが-で結ばれる」

 

⑥〘仏〙 結果を生ずるための間接的原因や条件。 「他生の-」 → 因(いん)

 

⑦(「椽」とも書く)和風建築で,部屋の外側につけた板張りの細長い床の部分。入り側(がわ)・榑(くれ)縁・木口縁(切り目縁)・簀子(すのこ)縁・濡れ縁などの種類がある。えんがわ。 「 -に腰をおろす」

 

⑧母屋(もや)の庇(ひさし)の端。 〔「これをご縁に」の形で,今後末長く交際してほしいという意を表す。「これをご-になにとぞよろしくお願い申し上げます」〕

 

出典:三省堂大辞林

多くの意味があります。

今回の「縁」に近いのは、以下の3つでしょうか。

   ①人と人を結ぶ,人力を超えた不思議な力

   ④関係。つながり。 

   ⑤関係のできるきっかけ。

 

和英辞典で「縁」を調べてみましょう。

1 〔巡り合わせ〕(a) chance; 〔因縁〕fate, (a) destiny

縁があったらまた会いましょう
Let's meet again if we have a chance.

不思議な縁で彼とは往復とも同じ飛行機だった
By a strange chance, he and I happened to take the same plane both ways.

 

2 〔人との関係,結びつき〕

夫婦の縁を結ぶ
get married

親子の縁を切る
disown one's child

 

3 〔物事との関係〕

金には縁のない男だ
He has never had much money.

化学とは縁のない科学
sciences unrelated to chemistry

 

出典:プログレッシブ和英中辞典の「縁」の英訳

 

chance、fate、destinyは、「①人と人を結ぶ、人力を超えた不思議な力。」の訳として適切な感じがします。

fateは以下のとおり、especially bad thingsに使うとのことなので、change、destinyあたりが順当なのでしょうか。

fate
[countable] the things, especially bad things, that will happen or have happened to somebody/something


出典:「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」 

新聞で調べる 

カリフォルニア州のローカル紙パサディナ・スター・ニュースを見てみましょう。

“It’s hard to explain,” Ohtani said, speaking via an interpreter. “With the Angels I just felt something click.

 

出典:

www.pasadenastarnews.com

 

「縁みたいなものを感じた。」を「I just felt something click.」と訳していますね。これは縁のニュアンスにかなり近いのではないでしょうか。

Ohtani spoke several times on Saturday about a “connection” or a “feeling,” feeding the impression that his decision to sign with the Angels was more personal than anything based on quantifiable baseball reasons.
“When you break it all down, there were so many factors,” Ohtani said. “I just felt that I wanted to play for the Angels. It’s something I cannot describe in words.” 

出典:

www.pasadenastarnews.com

 

同じくパサディナ・スター・ニュースでは、「縁」のことを「connection」や  「feeling」と訳しており、大谷選手の決断理由として「quantifiable baseball reasons(定量的な野球関連の理由)」よりも「more personal(より個人的なこと)」が起因していると書いています。

大谷選手も明確な理由を述べたくなかったので、「縁」という、ある意味少し曖昧な言葉で逃げたのかもしれません。「 It’s something I cannot describe in words.」はその意図をくみ取った表現として合っていると思います。

最後にMLBのWebサイトを見てみましょう。

"I think he felt that there was a family-like atmosphere [with the Angels] and something that he was wanting to and willing to be a part of for a lot of years to come," Eppler said. "I think it was his comfort level with us and not only just the plan that we put together for him, but just the overall vibe of the organization."

 出典:

www.mlb.com

a family-like atmosphere [with the Angels](家族のような雰囲気) 、the overall vibe of the organization (エンジェルスという球団の全体的な雰囲気)が決め手になったと書いています。これも大谷選手の意図を伝えるのに苦労している感じが分かります。ただ、「縁」の本来の意味と少しずれている感じも否めません。

Googleで調べる

最後にGoogle先生に聞いてみます。

「縁みたいなものを感じた。」
I felt something like a rim

 

出典:Google翻訳 

 

これはひどい
「rim」は「(特に円形のものの)縁(ふち)」なので、「①人と人を結ぶ,人力を超えた不思議な力。」とは全く違いますね。

「I felt something like a rim」より「I just felt something click」の方がきちんと意味が伝わるでしょう。

これがgoogle翻訳の限界なのか。

おわりに

後編は、「縁」について見てきました。

日本語の「縁」は、少し曖昧な意味を持っているので、翻訳しようとした人の四苦八苦した様子が伺えます。

前編、後編を通して言語の持つ奥深さを少し理解できた気がします。

最後に大谷選手について少し触れて終わりにしたいと思います。

野球界は、どちらかというと保守的な業界で、ある程度決まったレールがある世界ではないでしょうか。そういう世界で「二刀流」という前例のない挑戦をして成功したのは素晴らしいことだと思います。

もちろん、監督、ファン、チームメイト等の協力があって成し遂げたことだとは思いますが、自分の美学、自分の信じる道を貫く姿勢は見習いたいと思いました。