クロネコの塵壺

自分の頭で考えて生きていこう

ブリコラージュとは何か

Pensée sauvage -- Wild Pansy

アーティストやデザイナーの人達と話をしていると「そこはブリコラージュ的に考えようよ」とか「この部分はブリコラージュ的に作りました」という表現を時々耳にします。

初めて聞いた時は面食らったというか意味がよく分からなくて何度か聞き直した記憶があります。

私の大まかな理解では、ブリコラージュとは、計画的に何かを作るのではなく、その場にあるものを寄せ集めて自分の手で何かを作る手法を意味します。

少し調べてみると、この言葉は1962年に出版された書籍『野生の思考』で著者のクロード・レヴィ=ストロースが述べた考え方であることが分かりました。

フランスの人類学者レヴィ=ストロースがどのような目的でこの本を書き、どういう文脈でブリコラージュという言葉を使用しているのか。

このことに興味を持った私は、早速、Amazonで『野生の思考』を注文しようとしました。しかし、5,180円という値段と408ページというボリュームに恐れをなした私は、まずは、その横に表示された463円、116ページというお財布に優しく、私の知能レベルに合致しているであろう「NHK 100分 de 名著 レヴィ=ストロース 『野生の思考』Kindle版」を読んでみることにしました。

結果から言いますと、私にとってはこの本でも十分難解な部類に入り、全てを理解できたとは言えないのですが、全体像は少し理解できたと思っています。

まず、レヴィ=ストロースがどのような目的で『野生の思考』を書いたのか。人類学者のレヴィ=ストロースは、ブラジル奥地の原住民に関するフィールドワークを通して感じたこと、すなわち「西欧文明やその思考方法が最も優れていて、未開社会の文明やその思考方法は野蛮で非合理的であるという考え方は間違っている」ことを論証するためにこの本を書いたのだと思います。

未開の人達は、自分達の周りの自然を徹底的に観察し、分類した知識を生活にうまく活用します。現代の人類のように抽象的な概念で物事を理解しようとせず、感覚的かつ具体的に物事を理解しようとします。

そして、「歴史」「科学的思考」「家畜化された思考」に対して「構造」「ブリコラージュ」「野生の思考」という考え方を打ち出して、「人間の本質」に迫ろうとしています。

「構造」とは、「変換をほどこしても相互の関係が不変の属性を保っていること(引用:NHK 100分 de 名著 レヴィ=ストロース 『野生の思考』Kindle版 第二回 野生の知財とブリコーラジュ 構造の定義)」を意味します。つまり、未開社会の文明は、循環的、持続的である、ということが言えるでしょう。

ブリコラージュは、再利用という意味も含んでいます。未開社会の文明(=構造の世界)を支える手法として、ブリコラージュは適した知性形態であり、科学的思考に劣らない素晴らしいもの、ということが理解できました。

科学的思考では、具体的要素を取り除き抽象化した「概念」をつくります。それは特定の用途に合うようにつくられた知的道具です。一方、「ブリコラージュ」では、「ずれ」や「ゆらぎ」が含まれる「記号」を用います。

「ずれ」や「ゆらぎ」が含まれる「その場にある材料」(=「記号」)でものを作ると、作られたものは当初の意図とは微妙に違ったものができあがります。これを客観的偶然と呼ぶこともできるでしょう。不思議と生命感を感じる作品が生まれることもあります。

ここでポイントになるのが、その場にあるものを寄せ集めてきて作れば、それがなんでも素晴らしいものになるのではなく、構造の世界を熟知し、そこにあるものを丁寧に観察した上で作ることが客観的偶然を呼び込むことに繋がるのではないかと思いました。