クロネコの塵壺

自分の頭で考えて生きていこう

現代社会を生きている人々が映画『スノーデン』を観るべき3つの理由

Edward Snowden

昨日、オリバー・ストーン監督作品の『スノーデン』を観たのですが、メッセージ性が強くて心に響くものがあったので、今回はそのことについて書きたいと思います。

この映画はジャンルとしてはヒューマンドラマ系になると思います。限りなくノンフィクションに近いフィクションと捉えて観た方が良さそうです。なぜなら、この事件の全容はまだ解明されていない状態なので、監督や脚本家の想像で補った部分があるからです。ただ、そうだとしてもこの映画の持つ価値には何ら影響がないように思われます。それくらい素晴らしい映画でした。

では、なぜ現代のような情報化社会に生きている人々がこの映画を見た方が良いのか?その理由を3つ挙げたいと思います。

インターネットが主題であるから

映画の冒頭で「ネットは人類をつなげて幸福をもたらすもの」という発言が出てきます。日本でネットが本格的に普及し始めてから約20年。スマホの普及で常時接続は当たり前で、SNSやEコマースの普及により生活にとても密着したものになってきたと思います。ネットなしの生活なんて考えられない、という方も多いのではないでしょうか。

でも、ここで少し立ち止まって考えてみる必要がありそうです。本当に「ネットは人類をつなげて幸福をもたらすもの」なのか。

この映画はネットの負の側面をテーマにしている作品と捉えることができます。政府がテロとの戦いという名目のもとにネットを利用して人々を監視し、プライバシーを侵害する。こういうことが現実に起きている。そして、それに民間のIT企業も協力している可能性がある。非常に恐ろしい状況だと思いました。

最近成立したテロ等準備罪共謀罪)に関係があるから

この映画は米国政府がネットを利用して不特定多数の人々に対して諜報活動を行い、個人のプライバシーを侵害していたという事実を暴くものです。日本は関係ないと思っている、そこのあなた。ネットは世界とつながっていますし、米国政府の諜報活動の対象は全世界なので、あなたの情報もダダ漏れの可能性があります。

そして、気をつけたいのは日本政府も同じことができる法案が可決されたということです。テロ等準備罪共謀罪)は、名称からすると一般人には全く関係のない法律のように見えます。しかし、この法律の恐ろしいところは、対象となる犯罪(適用犯罪は277)については準備段階で処罰できるようになっている点です。

法律のプロである日弁連が反対していたのも、共謀罪が実際に犯罪が行われる前の状態を取り締まるものであり、処罰範囲が大きく広がるという懸念があったからです。そして、犯罪が行われる前の状態を取り締まるためには、捜査機関による監視が強化される方向になっていくでしょう。

2013年に成立した特定秘密保護法からの流れを見ていると日本政府が国民を抑圧する方向に進んでいるのは確かなので、本当にこれでいいのか、我々は真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。

信念や志の大切さを思い出させてくれるから

ネタバレになってしまうのですが、映画の後半でスノーデンが亡命先のロシアからネット中継で講演するシーンがあります。司会者から「暴露は正解だったか?」と聞かれます。

スノーデンは「もちろんです。私は議論を始めるための情報を提供しただけで、後は米国民が議論をして判断してほしい。重要なのは政府に疑問を呈し、説明を求めることができることです。」という趣旨の発言をしていました。

そして、「ロシアから出国しようとすれば逮捕される。非常に厳しい状況だ。」という問いに対して、「私は愛する恋人、安定した生活や将来、全てを失ったが、後悔は全くありません。なぜなら、心の声に従ったから」と返答していたシーンがとても印象的でした。

内部告発というのは非常にリスクが高い行為です。特に米国政府のような強い権力を持つ組織を敵に回すというのは、危険な賭けと言わざるをえないでしょう。

「命を狙われるくらいのことをせんと世の中は変わらん。」という某大河ドラマの主人公のセリフを思い出してしまったのですが、まさにそういうことだと思いました。保身に走らず、信念に基づいて行動する。これはできそうでなかなかできない。

現代社会というか人間社会は、長いものに巻かれた方が生きやすいと思います。長いものというのは、世間一般の価値観や常識と言われるものだったり、日本社会が規定したライフコースだったり、誰かが引いたレールだったり。あまり深く考えずに社会のシステムに組み込まれた方が楽なんですけど、やっぱり自分なりの信念や志、価値観や軸を育てつつ、社会の中で生きていくことが、納得感のある人生を生きる上で必要なことなのかもしれません。それがいかに難しいことかは分かっていますけど。

この映画はそういうことを考えさせてくれる映画だと思うんです。