クロネコの塵壺

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映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』を観た感想

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世界的な天才バレエダンサー、セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリー映画です。あらすじが面白そうだったので観てきました。史上最年少の19歳の若さで英ロイヤル・バレエ団のプリンシパルになった前途有望な若者が22歳で電撃退団をします。その背景や彼の生い立ちについて本人や関係者のインタビューも交えながら映画は進行していきます。

私はバレエというアートフォーマットについては全くの素人です。何も理解していない状態で観ましたが、この人の肉体美、常人離れした美しい踊りには心を揺さぶられました。

映画の冒頭でBlack Sabbathの「Iron Man」がBGMとして使われるなど、劇中歌の選曲もツボにはまりました。内容も良いですし、映像美と音楽とのコンビネーションも抜群です。久しぶりに見てよかったと思う映画でした。

そして、ドキュメンタリー映画はやっぱりいいですね。なかでも伝記風のドキュメンタリーは見ていて飽きません。何を考えどのように決断したのか。その人の人生を追体験した気分になれるからでしょうか。他人の人生の深いところを覗けたような気がします。この映画は、セルゲイ・ポルーニンとその家族の苦悩と精神的な成長を描いた物語と捉えることができると思います。 

彼は2012年に英ロイヤル・バレエ団を電撃退団し、アメリカに渡ろうとします。ただ、アウトローのイメージが定着してしまった彼を迎え入れようとする団体はなく、ロシアで一から活動を開始します。ロシアである程度有名になり、順風満帆に物事が回り始めた矢先、不安定な内面を抱えた彼は、2015年のミュージックビデオの撮影を最後にダンサーからの引退を決意します。

幼い頃からバレエ一筋で、それしかやってこなかった人物が20代の脂の乗り切った時期に引退を決意します。その時の心境はどのようなものだったのでしょうか。察するに余り有るものがあります。

しかし、そのミュージックビデオがYouTubeにアップされると、2000万回を越す再生数を叩き出し、世界中から届いたコメントに彼は勇気づけられます。踊りと一旦距離をおいて、改めて踊ることが好きであることを確認した彼は、ふたたびダンスの世界に戻ってきます。

ミュージックビデオは、現在も公開されているのでリンクを貼っておきますね。アイルランド出身のシンガーソングライター・ホージアの『Take Me To Church』に合わせてコンテンポラリーダンスを披露しています。


Sergei Polunin, "Take Me to Church" by Hozier, Directed by David LaChapelle

 

映画では詳しく語られていませんでしたが、彼は英ロイヤル・バレエ団を退団した理由について禁止事項の多さと薄給であることを挙げています。テレビ出演、旅行NGなどさまざまな禁止事項があり、プリンシパルともなると週6で11〜12時間も拘束され、その割には自分の部屋を借りることもできないほどの薄給だとか。

ダンサーというのは代わりはいくらでもいる世界なので立場が弱いようですね。彼はダンサーたちに発言権を与え、現状を変えていきたいということで、2015年から「プロジェクト・ポルーニン」を立ち上げ 、フリーダンサーたちの支援や若い観客を取り込んでいこうとする活動を行っています。活動内容は以下のFBページでチェックできるので興味のある方は覗いてみてください。

https://www.facebook.com/projectpolunin/

良い方向にいくといいですね。