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クロネコの塵壺

自分の頭で考えて生きていこう

建築家兼デザイナー ヨセフ・フランクのアクシデンティズムについて思うこと

https://dcwdesign.files.wordpress.com/2011/07/joseffrank.jpg?w=1000&h=750Source: Day one: Josef Frank | dcwdesign // blog

ストックホルムの現代美術館で建築家でありデザイナーでもあるヨセフ・フランクの展示「Against Design」を見たので、少し思うところを書きます。

ヨセフ・フランク(1885生ー1967没)は、オーストリア生まれですが、妻がスウェーデン人だったこともあり、生涯の半分をストックホルムで過ごしました。ウィーンのTechnische Hochschuleで建築を学びますが、キャリアの中盤から後半にかけては家具やテキスタイルのデザインの方にシフトしていきます。

彼のデザインしたテキスタイルや家具は、スウェーデンの老舗インテリアショップSvenskt tenn(スヴェンスクテン)で今も購入することができます。

彼はキャリアの後半で自らの仕事の哲学を「Accidentism(アクシデンティズム)」という言葉に集約します。

正確に理解できていない部分もあるのですが、「Accidentism(アクシデンティズム)」とは、均質さと簡素さを追求する機能主義を批判する文脈で、機能主義者が不要とする装飾や色彩などを取り込んで住空間を作る方法論のことだと考えています。「Accidentism(アクシデンティズム)」という言葉の通り、偶然性や遊び心による心地良さという要素を重要視しているのだと思います。

以前の記事(→「社会人になって気づいたこと:論理思考はそれほど重要ではない」)で、合理性や客観性はそれほど重要ではないかもしれない、という記事を書いたのですが、それと通じる部分があると思いました。バランスの問題だと思いますけど、ヨセフ・フランクは機能主義や合理主義による弊害に気づき、新しい方向性を提唱したのではないでしょうか。

機能主義が普及するに連れて削ぎ落とされたもの(装飾的なものや色彩的もの)に注目してアクシデンティズムという独自の哲学を生み出したのだと思います。展示のタイトル「Against Design」の意味が初めは分からなかったのですが、ヨセフ・フランクが当時の建築デザインの主流だった機能主義に対して、独自の建築論を提案した背景を踏まえてこういうタイトルにしたのでしょう。

主流派や多数派が削ぎとした部分に注目して問題提起をするやり方は、多分にアート的だと思っていて、これはいろいろな分野に応用できる考え方ではないでしょうか。