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幸福度ランキングNo.2 デンマークの意外と知られていない事実

Copenhagen

以前の記事(「幸福度ランキングNo.1 ノルウェーに関する意外と知られていない事実」)では、ノルウェーについて書きました。北欧シリーズということで今回はデンマークについて書きたいと思います。

今回もデンマーク在住ジャーナリスト、マイケル・ブース著『限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』のデンマーク編を読んで思ったことを書きます。

デンマークとはどういう国か

みなさん、デンマークと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?玩具のレゴ、アンデルセンの童話、キルケゴールの実存哲学、税率の高い福祉国家というイメージがあるくらいで、正確な場所も分からないかもしれません。僕もそうでした。ざっくり言うとドイツの北、ロシアの西に位置する北欧諸国の中で最も南に位置する国です。

この本を読む前のデンマークに対する認識は、高い税金を負担する代わりに素晴らしい社会保障を享受できる国、理想的な福祉国家というくらいのものでした。が、この本を読んでから少し見方が変わりました。やはり理想的で完全な国家というものはなく、デンマークにも良い点と悪い点があって、いろいろな問題を抱えていることが分かりました。

デンマーク人幸福論の2つの要素

このジャーナリストの本しか読んでいないので、他の本を読めばまた印象が変わるかもしれません。ただ、この本はデンマーク福祉国家モデル、デンマーク人幸福論の実態に第三者の目線から冷静に迫っている本なので、この国に対する理解は深まったと考えています。

例えば、この本ではデンマーク人幸福論を語る上で、大きく分けて2つの要素を紹介しています。一つは経済的平等。もう一つは社会的団結力・相互の信頼関係の高さです。

経済的平等については、デンマーク社会は巨大な中流階級社会で経済格差が小さく、それが社会的発展、経済的発展の推進力となったようです。「国民の90%が同じ生活水準を享受している」というデータもあります。また、ある研究データによれば平等度の高い社会が不平等な社会よりも優れているという結果が出ており、特に所得格差の拡大と社会問題は直接的な関係があるとのことです。不平等は貧困層にも富裕層にもストレスを生みます。自分だけお金持ちだとしても貧乏な人の中では何かと生きにくいということですね。

社会的団結力・相互の信頼関係の高さについては、ある統計でデンマーク国民は世界で最も社交的で人を信用するという側面を持っている結果が出たそうです。これはデンマーク国民の人生観と関係しているかもしれません。その人生観とは「コップの中には半分も水が残っている」というものです。彼らは14世紀から16世紀にかけてスカンジナビア全域を治めていた時期もありましたが、長い期間をかけて少しずつ領土を失い、敗北と喪失の歴史を抱えています。それが、変化と外力に対する恐怖心、手元に残ったわずかなものに感謝する姿勢を生んだようです。この社会的団結力や信頼関係の高さは、経済活動のコストを下げることにも貢献しています。他の欧米諸国なら騙されることを前提にビジネスを行う必要がありますが、デンマークではその必要はありません。

ただし、この本ではデンマークモデルの欠点も指摘しています。経済的平等、社会的団結力・信頼関係の高さ、高福祉社会モデルの弊害として、生産性の低さや競争的ではない環境を作ってしまうことが挙げられています。平均的な能力を持つ人なら北欧に生まれたことを感謝するべきだが、独立志向の自立心旺盛な人やある才能に突出した人は潰されてしまう可能性が高いので海外に行った方がよい、という考え方にも触れています。

まとめ

この本は、社会のモデルや幸福論の話ですが、結局は個人としてどう生きたいのかということに帰結する問題だと思いました。デンマークモデルのような「足を知る」「調和」「友愛」「非競争的社会」を指向するのか、米国モデルのような「上昇志向」「摩擦」「敵対」「競争的社会」を指向するのか。

そう考えると日本はバランスの取れた良い国なのではないかと思う部分もあります。出る杭は打たれる的な部分はありますけど、調和や友愛もあるし、ほどほどに競争的な気もします。

まあ、となりの芝は青く見えてしまいますけど、どの国も大変なんですね。この本によるとデンマークコペンハーゲン、オーフスなどへの都市への人口集中、少子高齢化問題、経済的平等の崩壊(貧富の格差の拡大)など日本と同じような問題も抱えているそうで少し親近感を感じました。