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クロネコの塵壺

自分の頭で考えて生きていこう

幸福度ランキングNo.1 ノルウェーに関する意外と知られていない事実

Trondheim. Norway

 3月20日に国連が世界各国の幸福度ランキング「WORLD HAPPINESS REPORT 2017」を発表しましたね。1位はノルウェーで、日本は51位。日本はG7の中で最下位、そしてコスタリカ(12位)、チリ(20位)、メキシコ(25位)などの南米の国よりも低いという衝撃の事実。どうなっているんだ日本!胡散臭いおっさんvs日本政府という構図でいつまでもくだらない国会論戦をやっている場合じゃないぞ!

ということで、日本がどの辺りに闇を抱えているのかを掘り下げるのも面白そうですが、今回は現代社会の理想的なモデルとして語られがちなノルウェーに焦点を当てて記事を書きたいと思います。

丁度、マイケル・ブースというデンマーク在住のジャーナリストが書いた北欧の実態に関する本を読んでいるので、その内容を紹介しつつ、ノルウェーの実情に迫りたいと思います。

基本情報

マイケル・ブース氏の視点で見るノルウェー

マイケル・ブース著『限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』のノルウェー編(p.219-p.285)では7章に分けてこの国の実態に迫ろうとしています。

 

前半ではノルウェー国民の愛国心の強さや保守的な側面を紹介しています。驚いたのは他の北欧諸国が「ノルウェー国民はクー・クラッスス・クランよりもちょっとだけ右寄りだ」と揶揄していることです。

事実、受け入れている難民の数は他の北欧諸国に比べはるかに少なく、最近では難民申請が却下された庇護希望者を年間1500人のペースで本国へ送還しています。また、多文化主義の知識人を右派が攻撃している実情を紹介し、非西欧系の移民に不寛容な勢力が存在することを示しています。

 

後半では、ノルウェーが欧州で最も人口密度の低い国の一つで農民と漁民の国であるにもかかわらず、なぜこれほどまでに豊かになったのか、という疑問に迫っています。

事の発端は、1969年に北海のノルウェー領域で石油鉱床が発見されたことから始まります。現代ノルウェーの成功は石油の恩恵の上に成り立っていると言っても過言ではありません。ノルウェーは石油基金を設立し、驚くほどの自制心と管理能力で運用しています。ノルウェー政府系投資ファンドはその絶対額で世界最大で、現時点で67兆円の規模を誇り、2019年までには少なくとも170兆円を超えると予測されています。

ただ、石油による富の蓄積は負の側面も抱えており、石油ブーム以前と比較すると年間労働時間は23%減少、病欠は増加、引退のタイミングも早まっている、とのことです。また、産業力が後退するペースも早まっており、製造業が GDPに占める割合は10%に満たないという厳しい状況です。深刻な社会課題として労働年齢にある国民の3分の1が何もしていないということが挙げられます。

まとめ

幸福度ランキングは相対的なものなので、第1位のノルウェーもいろいろな問題を抱えているようです。幸福度ランキング上位の国を理想的なモデルとして見てしまいがちですが、政治的に保守的であったり、石油の恩恵ありきの社会システムであることは意外と知られていないのかもしれません。

特に石油の問題は根が深そうですね。枯渇した後の世界をどう考えるのか。天然資源の輸出により製造業が衰退し失業率が高まる現象を経済用語でオランダ病と言うのですが、ノルウェーもオランダ病から逃れることは難しいのかもしれません。人間は、問題を先送りにしたい生き物なので、悩ましいところですよね。