クロネコの塵壺

自分の頭で考えて生きていこう

トーン・テレヘン著『ハリネズミの願い』を読んで童心の大切さに気づく

高校ビブリオバトル2016決勝大会で優勝した方が紹介していた本を読んでみました。ビブリオバトルというのは自分が面白いと思った本を5分間でプレゼンし、聴衆の投票で最多票を集めた人が優勝するという書評合戦です。

僕も一度参加したことがあるのですが、5分間は短いようで長いです。なので、本の内容だけでなく、その人の人間性や趣向も分かり、とても面白い競技だと感じた記憶があります。本を魅力的に紹介するという要素もあるのですが、その人の人生観がモロに出るので人間力の勝負という気もしました。

さて、『ハリネズミの願い」ですが著者のトーン・テレヘン氏はオランダ人で医師として活動するかたわら、子供達のために絵本や物語を書き続けている人です。本書は大人向けに書かれた「どうぶつたちの小説シリーズ」の一冊です。

孤独で臆病なハリネズミが、動物たちを自宅に招待しようと手紙を書こうとするところから物語は始まります。「誰も来てくれなかったらどうしよう」「用意した紅茶やケーキを気に入ってくれなかったらどうしよう」というような妄想ばかりが膨らんで結局手紙は引き出しの中へ。取り越し苦労だとは思いつつも、行動を移す前に悩むだけ悩んで結局何もしない。誰しもが経験したことがあると思います。

本書は59の章に分かれていて、各章でいろいろな動物がハリネズミの家を訪ねてきます。もちろん、ハリネズミの頭の中の世界で。その空想というか妄想がほのぼのしていたり、クスッと笑ってしまう展開が多く、寝る前にリラックスする目的で読むのがいいかもしれません。

正直に言うと、最初は展開が単調で面白くない物語だと考えていました。が、著者は敢えてそうしているのかもしれません。本を読んでいてすぐに教訓的なことや感動的なことを求めている自分に気がつきました。この本をつまらないと感じる自分が、実はつまらない人間になっている、ということかもしれません。

メタ的な表現になってしまって分かりにくいですが、そういうことを考えてしまいました。過度に利己的にならずに純粋に物語を楽しむ。大人になればなるほど難しいことですよね。子供の頃のような素直な心を見失わないようにしたいと思いました。

ビブリオバトル2016決勝大会で紹介された本はこちらから全て確認できます。(→高校ビブリオバトル2016 - 本と学問でひらく未来<高校生応援>)興味のある方はどうぞ。